楠木建『経営センスの論理』新潮新書、2013

  • イノベーションは非連続と連続の組み合わせ。成熟産業においては連続的なビジネスに非連続の要素を持ち込むこと(サウスウエスト航空)、非成熟産業では変化に富んだ環境のなかで連続性を持ち込むことである。Amazonは、「本」を売る点で保守的であり、ユーザーが受入可能だった。 p.58
  • Appleは、「できる」と「する」のギャップに敏感な会社である。ユーザーが自然と「する」機能に限定する。iPhoneという基盤は何でも「できる」が、顧客が実際に「する」か不明であり、アプリ開発をサードベンダーに開放し自然淘汰に委ねている。 p.64
  • グローバル化の本質は言語や法律が違う国に出ていくということではない。それまでのロジックで必ずしも通用しない未知の状況でビジネスをやるという「非連続性」にこそグローバル化の正体がある。グローバル化の困難とは、非連続経営の困難であり、言語や法律の多様性ではない。 p.126
  • 就職したい会社ランキングは、実態を知らない学生の意見であり、馬鹿げている。識者アンケートも、同様である。従業員の声を尺度としたアンケートである「働きたがいのある会社」ランキングは有用である。p.202
  • しばしば「あの人は地アタマがいい」というような言い方をする。抽象と具体を行ったり来たりする振れ幅の大きさと往復運動の頻度の高さ、そして脳内往復運動のスピード。僕に言わせれば、これは「地アタマの良さ」の定義となる。 p.212
  • ハーズバーグの提唱した職務満足と不満足を引き起こす要因についての理論である「二要因理論」は面白い。ハッとする。満足と不満足は1本のものさしの両極ではない。それぞれが独立の次元である。つまり、非常に仕事に満足していながら、同時に非常に不満足である、ということがありうる。 p.23
経営センスの論理 (新潮新書)
楠木 建
新潮社
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