『GO WILD』を読んだ

ここ数年、NHK出版から出ている、身体とその機能について書かれた本を気づいたら手にとって読んでいた。それは

BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”

BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”

 

 だったり 

脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方

脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方

 

 だったりした。さらに今日読み終えたのが

GO WILD 野生の体を取り戻せ! ―科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス

GO WILD 野生の体を取り戻せ! ―科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス

 

である。

いい本を読んだ、と思った。また読み返すだろうし、であれば紙の書籍で買っても良いかもしれなかった。

それで、本編のあとに担当編集者によるあとがきがあった。これもまた心を揺さぶられる、というか身体をうずうずさせる解説であった。

読者の「再野生化」を目的に掲げる本書には、ライフスタイルを根本から変えるだけの事実がつまっているが、日本語版の担当編集者として、いわば本を読者へ送り出す側の人間が読んでもっとも心に刺さったフレーズのひとつは、「書く過程で自らの人生が変わるのでなければ、そんな本は書く必要がない」というものだ。というのも、僕にはものすごく心当たりがあるからだ。

 本書には著者の二人を含め何人かの「ケーススタディ」が紹介されていて、野生の体を取り戻した人々の実体験が本書の内容に説得力を持たせているわけだが、この日本語版あとがきでは、一足早く本書を読んだ人間の実体験として、著者の一人ジョン J.レイティ博士の前著『脳を鍛えるには運動しかない!』から本書刊行までの間に、それを手がけた担当編集者がどれほど変わったのかをご紹介したい。

この松島倫明という方は、他にも有名な翻訳本を手がけているらしい、ということをイケダハヤトさんのブログ記事で知った……


「編集者」で本を選ぶということ:NHK出版の松島倫明さんの作品がツボすぎる : まだ東京で消耗してるの?

 『脳を鍛える~』の原書『SPARK』に出会い版権を買うとともに、自身の走りが変わった。走ることで脳を鍛えることができる。さらに『BORN  TO RUN』に出会い、また版権を取得。翻訳本の編集者の世界のことはよくわからないけれど、こんなに当たりの本を上手く選べるものなのかしら、という感じではある。水道橋博士の絶賛により手にとったのを思い出した。そして本書は著者自身から依頼された。

こうして長々とケーススタディを書いたのは、『脳を鍛えるには運動しかない!』から本書『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』へと続くこのわずか五年あまりの間に、一人の人間がこれほど変わったのだ、という典型的な例だと思うからだ。でもそれ以上にお伝えしたいのは、いま、ここから行動を起こそう、ということだ。僕は編集者としての信条にしたがって、手がける本の中身を体当たりで試すうちに、気がつけばGO WILDな生活へと進んでいた。著者が言うように、「あなたを苦しめているのが何であれ、考えたり読んだりするだけではそれから逃れることはできない。幸せに暮らすというのは、行うべきこと」なのだ。ぜひ本書の中で何であれ、引き金になるものを見つけたら、そこから第一歩を踏み出していただければ、翻訳者も、日本語版編集者も、これほど嬉しいことはない

 仕事をすることで自分の生活を向上させ成長させていくことは、私自身が願っていたことであるが、なかなか難しいことではある。ここにはそれを上手く成し遂げた過程が記されていて眩しく感じた。私もそうなりたいと願った。