(2015/7/25)鶴見俊輔さん(と加藤典洋『敗戦後論』)
鶴見俊輔さんが亡くなった。そういえば私が書いた卒業論文に鶴見俊輔さんの文章を引用していたのと思い、久しぶりにざっと読み返してみた。文章では色々なことを言いたかった私が、色々なことを述べていたが、言いたいことの一つが、加藤典洋さんの『敗戦後論』は鶴見俊輔さんと強いつながりがある、ということである。それは二人の関係を考えれば当たり前であるが、あまり言及されてないように思う。『敗戦後論』は、その当時だいぶ話題になり、最近ちくま学芸文庫で再刊されているようだ。
鶴見俊輔さんの「かるたの話」という論文の中に、憲法に言及したものがある。これは、小熊英二さんの本で読んで知った。
戦争が終わって、……新しく、平和憲法という嘘が公布された。これはアメリカに強制されて、日本人が自由意志でつくったように見せかけたもので、まぎれもなく嘘である。発布当事嘘だったと同じく、今も嘘である。しかし、この嘘から誠を出したいという運動を、私たちは支持する。それは、嘘から誠を出し得るという前提に立っている。
日本国憲法は嘘である、というのはなかなか強烈な指摘であるが、さらに嘘から誠を出しうるという護憲論は、アクロバティックでもあり、護憲派にも受け入れられづらいのではないかとも思う。しかし後年、加藤典洋さんの『敗戦後論』の中に以下の一節があり、その論理の継承が見られる。
わたし達のこの平和憲法保持は、この「強制」の事実に眼をつむることによって完遂された。わたし達はこれを擁護し、また否定しようとしてきたが、そのいずれも現実を直視したものではなかった。現実はどうだったか。わたし達は「強制」された。しかし、わたし達は根こそぎ一度、説得され、このほうがいい、と思ったのである。 とすれば方法は一つしかない。強制されたものを、いま、自発的に、もう一度、「選び直す」、というのがその方法である。
これが名高い憲法の選び直し論であり、経済学部だった私が思わず卒業論文に取り上げてしまったきっかけの文章であった。
鶴見俊輔さんはその後こんなことを言っている。
私は憲法を一度国民投票みたいなものにかけ、国民一人一人 の意志決定に委ねることが必要だと思う。……加藤典洋さんの発言にあったこの着眼点から私は目を開かれました(「改憲論を排す 条文と約束」(『情況』第 2 期 4 巻 9 号)、pp.91-103)
つまり、鶴見俊輔の「嘘から出た誠」という憲法論は、加藤典洋の「憲法の選び直し論」に結実し、それを再度鶴見俊輔が支持した、という図式である。
同書のなかで加藤典洋さんは「きみは悪から善をつくるべきだ/それ以外に方法がないのだから」という言葉を引いている。悪から善を作るのも、嘘から出た誠も、論理展開としては同型である。アクロバティックではある。この言葉に着目する理由として、自分が警察官の子供でありつつ全共闘運動を迎えたという経験から「自分がものごとを考えるに際して、すべてをもう一度、自分なりに考え、再構成しなくてはならなかった」ので、こうした「ひねくれ」た言葉に眼がいくのだと説明している。
なお、その後、憲法改正のための国民投票制度を定めた国民投票法が施行された。
追記:以下の記事を書いた。
(2015/7/23)uncopyrightとミニマリストの考え方
この記事について
以下は、leo babauraの記事の翻訳です。
» uncopyright and the minimalist mindset :mnmlist
著作権については、以下の記事と同様に、uncopyrightです。
uncopyrightとミニマリストの考え方
皆さん知っているかもしれませんが、私は著作権という概念が好きではありません。実際、私はこのブログや他のブログであるZen Habitsをuncopyrightという位置づけにしています。
そしてuncopyrightとミニマリズムの二つの概念は一見関係ないように見えますが、これらは同じ考え方から生まれると信じています。
以下にその仕組みを説明します。
著作権は防御的な考え方から生まれます。つまり、著作者は作品を所有し、その作品から生まれる利益を得るために所有権を守らなければいけない、ということです。著作者は作品を他の人とシェアするが、それは代金を払ってシェアしているに過ぎず、支払わずに使用する人や、更なる創造の基礎として使う人は著作物を盗んでいる。
これが、著作権の考え方です。
uncopyrightのマインドセットは、利益に関してどんな補償も必要とせずに著作物を与え、所有権を放棄し世界自体がその著作物を所有していると信じている人の考え方です。そうした人は、世界に少しずつ貢献することを望み、もし他の人がこうした貢献から利益を得るのであればそれは良いことであると考えます。さらにもし他の人がこれを使って何か新しくて美しいことを創造するのであればそれはワンダフルなことであると考えます。
uncopyrightのクリエイターは所有権を放棄します。というのも、所有権にしがみつくことは世界を傷つけ、所有権を擁護することは不必要なストレスを生み出すからです。
ミニマリストも同様に、所有権を、少なくともある程度は、避けます。また何かを所有することは自分をハッピーにしないと信じます。モノを所有するのではなく何かをすることが自分を幸せにする。他の人を助けることが自分を幸せにする。創造することが自分を幸せにする。
こうした状況の元、ミニマリストはuncopyrightを採用します。そうすることで世界に与え、ほんのすこしであるが世界をよりよくすると期待するのです。
(2015/7/22)leo babautaさんのブロクの翻訳
ミニマリストに関する世界の議論を眺めていて、そういえば自分は、Leo babautaさんのmnmlistというブログが好きだったことを思い出した。
すでに更新は終了している。
このブログは翻訳してくださっている方がいる。
しかし、すべての記事を手がけているわけではないようだ。
英語の勉強もかねてそれ以外の記事を翻訳しようかしらと思った。
(2015/7/21)英検とCEFRの関係について
ここ一年、英検を受験している。結果は不合格で、一次試験から抜け出せない。
とくに14年の第3回はあと二点と言うところだった。衝撃のあまり物欲が亢進し、思わずiPadを買ってしまった、笑い。
直近の結果はこちら:
この会は、特にリーディングの語彙問題以外のパートが、ほぼほぼ満点だった。それでもなお不合格というところに闇を抱えているわけだが、なかなかのものだと思った。
なお、この会から、英検CSEなるものが導入されている。
CEFRとの対応を提供する概念のようだ。CEFRも最近目にすることが多くなってきている。これによると、英検1級に合格するということは、C1以上、つまり「熟練した言語使用者」ということのようだ。なかなか厳しいものがある。
自分の体感的には、準一級と一級の間にかなり差があるのだが。
第二回は所用により不参加。第3回こそは合格したい。
(2015/7/19)こども自然公園、万騎が原ちびっこ動物園
こども自然公園に行った。子供の出産直前に行ったのが2年前で梅が咲いていた。また行きたいねなどと話していた。ちょうど梅雨明けのタイミングで暑かった。
第二駐車場に車を止めたが、中心に行くまで少し歩いた。第一駐車場のほうが良かったかもしれない。
お目当ての一つが動物園であった。
この公園の中にあるが、野毛山動物園の分園という扱いのようだ。飼育小屋の中には様々な種類の鳥がいた。
さらに、ハツカネズミやモルモットに触れ合える体験コーナーがある。
モルモットのために座布団を敷き、その上にモルモットを載せる。慣れたもので全然動かずにブラシで毛並みを整えられていた。ただ、子供はまだ動物の概念がないのか、あまり興味を示さなかった。無理に手をモルモットの毛に持って行き撫でさせた。
体験コーナーの中になぜか鶏が放し飼いされていた。
動物園からさらに歩くと立派なアスレチックの公園がある。遊具が密度高く構築されていて、自分が小人であればかなりわくわくするだろうと思う。
暑い日であった。子供の帽子をとると汗で髪の毛がぐっしょり濡れていた。
新人エンジニア研修まとめ(2015年版) *追記あり
こちらの記事をリスペクトしつつ、2015年度のエンジニアの新人研修をまとめました。一部自社が関わったものもありますが。。
なお、最後に追記しています。
株式会社ドワンゴ様
昨年、一昨年に続いて公開されています。KADOKAWA入社の非エンジニア職種も混ざった研修とのことで、研修内容やグループ分けなどを工夫されています。
株式会社ハートビーツ様
CTOの方が執筆した書籍を利用した研修とのこと。書籍自体も新人研修の内容をもとにしているとのことで、未経験者が学びやすい順序で必要なトピックを学習できることでしょう。
面白法人カヤック様
こちらも毎年新人研修の内容を公開されていて参考になります。特に先輩社員の関与のさせ方がいいですね。同じ課題で競わせることで新人の方だけでなく先輩の方にも刺激を与えています。
GMOペパボ株式会社様
守破離の枠組みで研修をデザインされています。資料と研修の様子がぎっちり紹介されています。今後も資料を公開されるとのことで楽しみです。
クックパッド株式会社様
こちらも非エンジニア職の方にも技術研修を実施されています。
株式会社VOYAGE GROUP様
先輩エンジニアが様々なトピックを担当されています。
株式会社ヴァル研究所様
社内で新人研修の重要性を喚起し、多くの人を巻き込むことを意識されています。
ネットコマース株式会社様
研修で使われたスライド。ITのトレンドの技術を幅広く紹介しています。
株式会社モバイルファクトリー様
下記の ガイアックスさんとの共同の研修とのことです。
株式会社ガイアックス様
株式会社リジョブ様
研修を受けられているご本人による報告のようですね。研修頑張ってください。
株式会社日立ソリューションズ様
自律型人材を育成するために、講師が一方的に指導するのではなく、新入社員自身に任せる方針にしたとのこと。
株式会社NTTデータ様
アジャイル型開発手法を採用。技術力が高い新入社員にもチャレンジさせることができ、講師もお膳立てが不要になったというイイトコドリの方策とのこと。
NECネクサソリューションズ株式会社様
こちらも、自社の人材は自社で育てるということで、マネージャクラス、若手社員などが講師を担当しているとのこと。
株式会社富士通システムズ・イースト様
外国籍の方に対してきめ細やかな対応をされています。
追記:師弟登壇2015
師弟登壇というイベントが開催されていました。ガイアックス、カヤック、クックパッド、pixiv、mixi、はてな、GMOペパボ、といった企業が参加しており、私も参加の申し込みをしましたが残念ながら抽選にもれ落選してしまいました。しかし、当日の資料がこちらにアップされています。
研修の企画提供側と参加側の両方の資料があるのが面白いですね。
追記2:株式会社ビズリーチ様
2016年の記事ですが、2015年に新人研修を受けた方が振り返って記事を書かれています。